第4話 いかにクライアントに指名される人間になれるか
職種で言うと、デザイナーの延長線にはアートディレクターという存在がある。
アートディレクターは、自らがデザインを行う場合もあるが、基本的には人を動かして仕事を行うケースが多い。
いわゆる、ディレクションが主であるからだ。
また、案件の進行管理や制作物の精度管理はもちろんのこと人的なことから予算に至るまでトータルで把握していなければならない。
ここで、私の言うクリエイターの中には、アートディレクターという職種が含まれる。
私の考えでは、デザイナーはいち早くアートディレクターになるべきだと思う。
仮にデザイナーであったとしても、アートディレクター的な動きはできるようになってしかるべきだと思う。
それこそが、いち作業者からの脱皮だし、クリエイターへの近道だからだ。
例えば、あなたがクライアントとの打合せに一人で出かけたとしよう。
仮にそれがデザインに関してだけの打合せであっても単なるデザインの話だけで終わることは極めて考えにくい。
「予定日に原稿が間に合わないんだけどスケジュール調整可能ですか?」
「実は新規案件の相談があるんですが・・・」
「予算がないんですが、このくらいの金額でできます?」
このような質問がくることは日常茶飯事だ。
つまり、クライアントはあなたがいちデザイナーであったとしてもおかまいなしに、スケジュールの話や新規依頼の話、しまいには予算の話に至るまで、様々な質問を投げかけてくるということだ。
しかもそれは、あなたがクライアントに気に入られていれば尚更、様々な要望が出てくる。
そんな時、「それについては社に戻ってから解答します」なんて答えていたら時間のロスだし、クライアントからの信頼度にも欠けてしまうだろう。
まぁ、内容によっては社に戻って上司の判断を仰がないとならないケースも時にはあるが、そう言ったケースを除いた場合、
あなたはその場で、的確にクライアントの質問に対し即答できてますか?
もし、「デザイナーなんだから、そこまで答えられなくたっていいんじゃない」と思ってるならそれは大間違いだ。
常に営業やアートディレクターが一緒に同行していればまだいいが、そうでない局面も多々あるだろう。
であれば、デザインのみの話しかできなかったらはっきり言って『格好悪く』ないか?
私がまれなのかもしれないと最近よく思うが、私は新人デザイナー時代から、スケジュールや予算、その案件全体のことばかり気になって気になってしょうがなかった。
その時はたいしたデザインもろくにできないのにだ。(これはこれで問題だが・・)
なぜか営業や上司はそう言った話をあえてしてくれないしむしろ、「そんなことは知る必要ない」的な様子でデザインのみふってきた。
私はとにかく全ての工程を把握したい方だったしそれを知らずしてクライアントの前でどんな話ができるのかと思っていた。
でないと、最善の提案などできないだろうと生意気にも考えていたのだ。
だから、見よう見まねであったが、気づいたらアートディレクターがやるようなことはある程度早い段階で出来るようになっていった。
何より、クライアントの質問にその場で答えられないのがめちゃくちゃ恥ずかしいと思っていたし、指名の取れる人間になるにはデザインの話だけでは限界があると感じていたからだ。
私の場合、デザインはあくまでも最大の武器の一つとして使っていただけであって、とりあえず、スケジュールから予算まで、その案件自体のトータル的な話までできるのが最低限必要だろうと考えていた。
もちろん、それらを満たしていてもコミュニケーション能力なくして、次の指名は取れないだろうという考えは持っていたが。
いずれにしても、今、デザイナーと名乗っている諸君は「自分が一度担当したクライアントは他人には譲らない」くらいの意気込みでやって欲しいものだ。
今のデザイナーたちを見てるとあまりそういった意識が感じられない。
むしろ、デザイナーはデザインを作ることのみにしか興味がないようにすら感じることもしばしばある。
まぁ、デザイナーだからデザインを作るのが本来の仕事だし、それで本人が困らないならそれはそれでいいが・・。
でもやっぱり、デザインの話しかできないのでは、端から見て決して『格好いいものではない』と思う。
まずは、デザイナーからの脱皮としては、早くアートディレクターになれるかどうかだ。そして、一人でも多くのクライアントから名指しで指名されることだ。
次回に続く・・・










